地震や災害により断水が起こると生活は一変、いつも当たり前にしていたことができなくなります。
しかも、水が使えないのは飲み水の問題だけではなく、私たちの衛生面にも大きな影響が出るのです。
例えば、お皿やお鍋などが洗えないことによって食中毒のリスクがアップ。
しかも手や顔を洗えないことで細菌やウイルスが体内に入りやすくなって感染症の危険も高まります。
汗や汚れが肌に残ることで、湿疹・かゆみ・ニキビなど皮膚のトラブルの原因にも。
したがって、体臭や不快感によるストレスを軽減させるのと共に、衛生状態を悪化させない対策が必要です。
今回はXフォロワー10万人の防災士いくみが、断水による健康リスクから自分を守り、お風呂の代わりとなるアイテムの選び方について解説します。

断水の恐ろしさ
2011年に起こった東日本大震災では、多くの地域で長い間に渡って断水が続いて日常の生活が困難になりました。
ある避難所では、地震が起こってすぐに水道がストップして被害にあった人たちは数リットルの給水をするために毎日の長蛇の列。
水が足りないことによりトイレも流せずにまともに使えない状態が続き、悪臭や感染症のリスクが急増しました。
手を洗うことができないためにノロウイルスが蔓延、高齢者さんや子どもさんを中心に集団感染が発生。
さらにお風呂に入れない日がしばらく続いたせいで、皮膚炎やかゆみで辛く苦しむ人も多くおられました。
つまり、私たちがいつも当たり前に使っている水の存在が生活と健康を支えていたことを痛感させられたのです。
飲み水だけではなく、手洗いや料理、お風呂、洗顔、トイレなど。
断水することは単なる不便ではなくそれ以上に「命の危険」が現実になることです。

断水が引き起こす生活への影響
ほこり、汗、皮脂などがついたままの服を着ていては不衛生で、これも肌トラブルや感染症の原因となることがあります。
特に下着やくつ下など、肌に触れるものは雑菌が増えやすいです。
嫌なニオイやかゆみ、湿疹、さらには虫などの皮膚疾患にかかる恐れも。
対策としては、トラベル用の使い捨ての下着やくつ下を用意しておくことがおススメです。
女性の下着に関しては生理用のナプキンや吸水シートを付けて取りかえていくのも良いでしょう。
また、大きなポリ袋を使って少量のお水で洗濯をする方法も知っておくと安心。
袋を使った洗濯の方法
❶密閉できるポリ袋やビニール袋に洗濯物を入れる
❷少量の洗剤か重曹またはクエン酸を❶に入れる
❸❷に水を入れてしっかりと閉め、繰り返し押してもみ洗い
❹水を替えてすすぎ、洗剤を落とす
❺よくしぼってから干す
また、晴れているときに天日干しをするだけでも雑菌の繁殖は少し抑えられますよ。
食器や調理器具も洗えなくなるので腐敗が進んで食中毒のリスクが増えます。
対策としては、清潔なラップやアルミホイルをお皿に敷いて取りかえて使うなどの工夫をしましょう。

断水による健康リスク
手や顔が洗えない状態が続くと残った細菌やウイルスが口や目、鼻から体内に入るリスクが高まります。
感染症や風邪、食中毒などの病気を引き起こす可能性がグンと増えて命にかかわる問題となりますが、ここで見落とされがちなのがお口のケアです。
歯磨きができないと歯垢がたまり、虫歯のリスクが増えたりや口臭の問題が起こります。
結果、歯周病の菌が増えることによって肺炎の危険性が高まるのはあまり知られていません。
1995年の阪神淡路大震災や2016年の熊本地震では災害関連死の原因で呼吸器疾患が多くあったため、肺炎にかからない対策はとても重要です。
災害を生き抜いた後も元気でいるために口内環境を整えることを忘れないで下さい。

お風呂に入れないと起こる問題
断水や停電が続くとシャワーや入浴ができなくなり、体臭や肌のかゆみ・炎症などのトラブルが起きやすくなります。
体に汗や汚れが残ることで細菌がたくさん増えて皮膚の免疫力が下がるので、結果として感染症のリスクも高まるのです。
また、顔や体がキレイにできないことは精神的な不快感にもなるので、心の健康にも悪い影響があります。
お風呂には心身がリフレッシュできる効果がありますが、断水中はそれができません。
そんなときはウェットタオルを使って、顔や体をしっかりと拭くことで清潔を保ちましょう。
汗や汚れをサッと取り除くだけでも少しは気分がすっきりします。
この方法は災害のときだけではなく、体調不良でお風呂に入れないときや、暑い時期のリフレッシュにもおすすめ。
私は特に夏場になると常に持ち歩いていて、べたつきが気になったらすぐ使っていますよ。

お風呂に入れない時に役立つアイテム
入浴が難しい状況でさっぱり清潔に過ごすためには髪と体をケアするアイテムが欠かせません。
中でもウェットタオルは非常に便利です。
体を拭くだけで汗や汚れをしっかり取り除き、さっぱりとした気分にしてくれます。
特に暑い時期は全身を拭くことによって体温調節ができるので、これからはぜひ備えておいて下さい。
備えあれば憂いなし。
断水中でも入浴の代用ができる衛生ケアアイテムがあれば、健康リスクを減らせます。
ウェットタオルやドライシャンプーを防災グッズに欠かさないようにしましょう

お風呂代わりになるウェットタオルの選び方と使い方
先の項目でもお伝えしましたが、断水時に顔や体を清潔に保つのにはウェットタオルが最適。
水や石けんがなくても拭くだけで全身をさっぱりさせてくれる、お風呂代わりの救世主です。
ただし、どれでも良いというわけではありません。
選び方次第で快適さが大きく変わるからです。
まず注目すべきは肌へのやさしさ。
敏感な肌の方でも使えるように無香料でアルコールフリーなものがおすすめです。
さらに、大判で体の全身が拭きやすく、破れにくい厚手のタイプを選ぶと使いやすさが大きくアップします。
選ぶときは成分やサイズ、素材をしっかりチェックしましょうね。
そして、使い方にもコツがあります。
1枚でも効率よく清潔を保つために拭く順番やタオルの「面の使い分け」を意識しましょう。
ウェットタオルは災害時の快適さと衛生管理を支えてくれる重要なアイテム。
正しく準備して、必要になったら安全に快適に使うためのコツを詳しくお伝えいたします。

ウェットタオルの基本的な使い方
水が使えないときやお風呂に入れない時に顔や体を清潔にキープするために必要なウェットタオル。
拭くだけで汗や皮脂を取り除いてスッキリとした清潔感を得られますが、注意点があります。
それは顔は汚れが溜まりやすいこと。
したがって、顔は特に優しくこまめに拭くようにしましょう。
また、使いかけの状態で長期間そのままにしているとシートが乾いてしまって使えなくなったり、雑菌が増えたりすることもあります。
ウェットタオルで脇や手、足の裏など汗をかきやすい部分を優先的に拭くと不快感もダウンしてリフレッシュできますよ。

肌にやさしいウェットタオルの見極め方
ウェットタオルは肌に直接触れて使うので、安全性と快適さがとても重要です。
まずチェックしてほしいのは「無香料・アルコールフリー」
強い香りやアルコールは刺激が大きく、敏感な肌の方にとっては赤みやかゆみの原因に。
特に高齢者さんや子どもさん、肌が弱い方が使うのであれば刺激の少ないタイプを選びましょう。
次に注目したいのは保湿成分。
アロエベラやヒアルロン酸、カモミールなどが配合された製品は、拭いてからも肌がつっぱらず乾燥から守ってくれます。
睡眠不足やストレスで肌が敏感になりがちなので、普段より慎重な選び方が大切です。
家族で使うことを想定するなら、みんなが使いやすいものを備えておきましょうね。

全身を拭くには大判・厚手タイプを
断水時、お風呂の代わりに使うためには全身をしっかり拭けるウェットタオルが欠かせません。
でも、小さいサイズでは足りず何枚も使うことになるため、衛生面やコスト面でもおすすめできません。
さらに、厚手なら水分のキープ力も高く、こすらず汚れをしっかり絡め取ってくれるので肌に優しいからです。
薄手のタオルだと破れやすく乾きやすいのでお風呂の代わりには不向きです。
1日1~2枚で全身をしっかりと拭けるのが理想的。
実際に使ってみると「1枚でこんなに拭けるんだ!」と驚く方も多くおられます。
また、体調不良のときや介護・アウトドアでも大判のタイプが活用できますよ。

拭く順番と使い方の工夫
ウェットタオルを使うときは拭く順番も意識しましょう。
さらに、1枚を効率よく使うためにはタオルを四つ折りにして面ごとに拭く部位を変えていきましょう。
清潔な面を保ちながら衛生的に使用できます。
私はより衛生的に使うためにはデリケートゾーンは別のシートを使うこともおすすめしています。
また、ゴシゴシ強くすると肌への負担が大きいので、優しくなでるように使うのがポイント。
特に顔や首元などは丁寧に。
汗をかきやすい脇や足裏などはしっかり拭き取りたいですが、くれぐれも摩擦は控えめにしましょう。
最後に、災害時は使い終えたタオルを密封袋に入れて処分することも忘れずに。
菌の繁殖や悪臭の予防になります。

災害時に頼れる!おすすめのウェットタオル
ウェットタオルの中でも、災害時におすすめしたいのがこちらの「背中も拭ける大判からだふきタオル」です。

1枚60cm×30cmと大判で、全身をしっかり拭けて効率的。
通常の持ち歩き用ウェットシートのように何枚も使う必要はなく、いざというときの備蓄にも適しています。

しかも厚手のしっかりした素材ですから破れにくく、満足のいく拭き取りができます。
無香料・アルコールフリーで、肌の弱い方や子どもさん、高齢者さんでも安心してお使いいただけますよ。
しっかり個包装でシートも乾燥しにくく、長期保存ができるのも嬉しい特徴です。
保湿成分もしっかり含まれており、肌をやさしくケアできて、顔や首、デリケートな部分にも使いやすいのも魅力。

私も実際に使ってみたのですが、きちんとお風呂に入ったみたいにさっぱり!のありがたいアイテムでした。
ぜひ皆さまにもチェックしていただきたいです。
まとめ
断水が起こってしまうと手洗いや洗顔、お風呂など、いつもの衛生習慣が奪われます。
それはただ不快なだけでなく、私たちの健康を害する問題まで発展します。
したがって、水が使えない状況でも清潔さを保つ備えが重要。
ウェットタオルなどのアイテムを用意しましょう。
ただし「何でもよい」ではなく、肌に合うか?使い心地など、日頃から慣れておくことも大切。
非常時だけでなく普段から使っておくことで、いざとなったときでも安心して活用できます。
また、ケガや病気でお風呂に入れない日や、介護、アウトドアなど幅広く使えますから持っていて損はありません。
「備え」と「実用性」の双方の効果を持つ防災グッズとして、ウェットタオルを活用してくださいね。
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