家庭での大雨の停電に備える方法

近年、日本各地で記録的な大雨が頻発しています。台風や集中豪雨の影響で、突然の停電や断水に見舞われたり、夜になっても気温が下がらない熱帯夜に苦しんだりすることが珍しくなくなりました。こうした事態は、日常の当たり前を一瞬で奪い、心身ともに大きなストレスをもたらします。

この記事では、大雨に伴う停電・断水・熱帯夜への具体的な備え方や、万が一のときに役立つ知識・グッズをわかりやすく解説します。「もしも」のときに困らないために、今できる対策を一緒に見直していきましょう。

1.停電に備える：明かりと電源の確保がカギ

大雨による停電は、夜間の視界不良や情報手段の喪失、冷蔵庫の停止など、日常生活に大きな影響を与えます。復旧には数時間から場合によっては数日かかることもあるため、「自力でしのぐ」ための準備が重要です。ここでは、特に重要となる「明かりの確保」と「電源の確保」に焦点を当てて解説します。

明かりの確保に電池式ランタンは必須アイテムです。懐中電灯も役立ちますが、両手を使える「電池式ランタン」は停電時の生活を大きく支えてくれます。部屋全体を柔らかく照らすことができ、料理やトイレの移動、家族とのコミュニケーションも安心です。他にも、蓄電池とモバイルバッテリーなどもあると便利です。

■おすすめポイント
LEDタイプで省電力・長寿命
単三・単四電池対応のものを選ぶと電池の入手が比較的簡単
吊り下げ式やマグネット付きなら使い勝手◎

2.停電と同時に起こる断水への備え

大雨による停電が発生すると、水道設備やポンプが止まり、断水も同時に起きることがあります。特にマンションや集合住宅では、水をくみ上げるために電力が必要なため、停電＝断水というケースも少なくありません。飲み水や生活用水の確保、そして衛生面の対応をどうするかが、生死を分ける大切な備えになります。

トイレが流れない…緊急用トイレの備えは必須！
断水時、最も困るのがトイレの使用です。水洗トイレが使えなくなると、衛生環境が悪化し、感染症のリスクも高まります。そんなときに役立つのが、緊急用トイレ（簡易トイレ・携帯トイレ）です。

■ 緊急用トイレの特徴
便器にかぶせて使えるタイプが多く、自宅のトイレをそのまま使用できる
凝固剤入りの袋が排泄物をすぐに固め、臭いも防ぐ

3.飲み水・生活用水をどう確保する？折りたためるウォーターバッグが便利

断水時は、水道から一滴も出ないことを前提に備える必要があります。ペットボトル飲料の備蓄も重要ですが、一時的に水を確保・運搬・保存できる「折りたためるウォーターバッグ」も非常に便利です。

■ ウォーターバッグのメリット
折りたたみ可能で軽量・省スペース
大雨の前に水をためておけば、トイレ流し・手洗い・簡易調理にも使える
容量は5L～20L程度が主流。用途に応じて複数個用意すると安心

4.停電で熱帯夜に

大雨による停電は、照明や家電が使えないだけでなく、エアコンや扇風機が止まることによる「室内の高温化」も大きな問題です。特に夏場は、熱帯夜が続くと熱中症や脱水症状のリスクが急上昇。冷房の効かない環境で長時間過ごすことは、体力を奪い、命に関わることさえあります。そんなときに備えておきたい、「電気がなくても使える冷却グッズ」を以下に紹介します。

◎ ポータブルファン（充電式扇風機）
■ 特徴
小型で持ち運びでき、USB充電式のものが主流
モバイルバッテリーや蓄電池と組み合わせて使用可能
卓上型や首かけ型、折りたたみ式など種類が豊富

■ 使い方のコツ日中は首元や顔に風を当てて体温上昇を抑える
就寝時は風の向きを調整して、風邪を防ぎながら快適に

◎ ネックリング（冷感ネックバンド）
■ 特徴
冷凍庫で凍らせると、28℃前後で自然凍結し、ほどよい冷たさが長時間持続
首に装着するだけで体感温度が大きく下がる
繰り返し使えて経済的
■ 備えとしてのポイント
数本まとめて冷凍しておけば、交代で使用可能
冷凍庫が使えないときは、氷や冷水で再冷却も可

◎ 氷のう（アイスバッグ）
■ 特徴
頭や首筋、脇の下などを冷やして体温を直接下げられる
水と氷を入れてすぐに使える、電気不要の冷却アイテム
耐久性が高く、繰り返し使用可能

■ 準備のポイント
停電前に冷凍庫で氷を多めに作り置きしておく
水道が使えるうちに氷のうに冷水を入れて準備しておくと安心

◎ 緊急用コールドパック（水を入れて振るだけの瞬間冷却パック）
■ 特徴
水を入れて軽く振ると、すぐに冷たくなる化学反応タイプの冷却グッズ
電気も冷凍も不要で、即座に冷却効果を得られる
軽量・コンパクトで非常持ち出し袋にも入れやすい

■ 活用シーン
暑さで気分が悪くなったときの応急処置に
就寝前に体を冷やす、枕元に置いておくなど多用途

5.断水でお風呂に入れない

大雨や地震などの災害時には、突然の断水でお風呂に入れなくなることがあります。そんなとき、不快感を軽減し、衛生を保つためにとても役立つのが「大判ウェットタオル」です。

市販のウェットシートと比べてサイズが大きく、厚手で破れにくいため、これ1枚で全身拭けるのが特長。顔、首筋、腕、足、背中までしっかり拭き取ることができ、まるでシャワーを浴びたかのような爽快感が得られます。無香料タイプや弱酸性、保湿成分入りのものも多く、肌への刺激を抑えながら汚れや汗をしっかり拭き取れるのもポイントです。

使用前に少し温めてから使うと、よりリラックス効果が高まり、体もほぐれやすくなります。電気が使えない場合でも、日中に日向に置いておくだけでほんのり温まることもあります。逆に、夏場の熱帯夜などには冷蔵しておいて、ひんやり感を楽しむのも一つの工夫です。

「お風呂に入れない時にこれ1枚で全身拭ける」この便利さは、災害時だけでなく、アウトドアや車中泊、病気療養中など、さまざまなシーンで大活躍します。1枚ずつ個包装されたタイプであれば衛生的で持ち運びにも便利。防災リュックや非常用持ち出し袋の中に、家族の人数分をストックしておくと安心です。

水が使えない状況でも、清潔を保つための選択肢を持っておくことは、健康を守るだけでなく、精神的な安心にもつながります。断水時の“お風呂の代わり”として、大判ウェットタオルは備えておきたい必需品です。